2007年12月26日水曜日

ウィーンに写真175枚 貴重な明治のアイヌ民族 博物館展示へ

十九世紀末から二十世紀初めに道内や千島列島などで撮影されたアイヌ民族の写真百七十五枚が、オーストリア国立ウィーン民族学博物館に保管されていることが分かった。同館は昨年から写真のデータベース化作業に着手、一般公開を目指しているが、入手経路や撮影時の状況など不明な点が多く、道内のアイヌ民族研究者らの協力を期待している。
 大半が一八九○-一九一一年(明治二十三-四十四年)に撮影され、このうち道内の写真は四十九枚。日高管内平取町の沙流川沿いで馬に荷を積んで運ぶ光景や、かやぶき住宅の前で民族衣装を着て記念撮影する姿などがとらえられている。原画はモノクロだが、後から特殊技術で色を付け、カラー写真のように仕立てたものもある。
 撮影者は、オーストリア人写真家のライムンド・フォン・スティルフリード氏ら数人が判明しているが、大半が不明で、入手経路なども調査中だ。札幌の写真館で現像された絵はがきや、東京帝大の鉱物学者でアイヌ語研究者の神保小虎氏の収集品だったとみられる写真も多数ある。
 一部研究者の間では、同館に明治期の写真が保管されていることは知られていたが、倉庫に眠ったままで研究も展示もされてこなかった。
 改修中の同館は、再開予定の二○○九年にアイヌ民族の常設コーナーを設け、写真も展示する計画だ。東アジア担当責任者のベティーナ・ツォルングさんは「欧州でアイヌ民族の大規模な写真展はほとんどない。日本の研究者の協力も仰ぎ、資料的な価値を含め、多くの人にかつての暮らしぶりを伝える機会を設けたい」と話す。
 欧州の博物館などに所蔵されているアイヌ民族の資料に詳しい北大アイヌ・先住民研究センターの山崎幸治助教は「写真は、聞き伝えでは分からなかった昭和以前の生活を知るための貴重な資料。アイヌ民族の伝統文化を世界に広く伝えるきっかけにしてほしい」と期待している。

(北海道新聞より引用)

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